目次

はじめに

2024/12/1、「日本維新の会」の、代表選挙の投開票が行われます。

維新というのは、少しややこしいのです。
地域政党である「大阪維新の会」と国政政党である「日本維新の会」が存在します。

先日、地域政党である「大阪維新の会」で代表選挙が行われ、吉村洋文氏が再選しました。
12月頭に行われる代表選挙は国政政党である「日本維新の会」の代表選挙です。こちらも現在共同代表である吉村洋文氏が当選するのでしょうか。
よくわかりません。

「大阪維新の会」の代表に再選した、吉村洋文氏は、「大阪都構想」をもう一度やると言っています。
前回の住民投票の結果、「自分が代表のうちはやらない」と言っていたはずなんですけどね…。


それがコレです。民主的なプロセスを経たらまたやるんですね。


私もそうだったのですが、「大阪都構想」というのがいまいちピンとこないと思います。
2020年に行われた大阪都構想の住民投票の時に、なんとなく調べたのですけど、改めて調べたうえでアウトプットし、自分を高める試みです。

大阪都構想について

なぜ大阪都構想が必要だと言われるのか

これは、大阪市の人口が非常に多く、税収もまた多いのです。結果、大阪市の権限が大きいためスリム化したらどうか、という議論です。

大阪府と、以下は、大阪市の予算規模です。

・大阪府
令和6年度(2024年度)当初予算案:
一般会計予算規模: 約3兆1,972億円(前年度比87.8%)
特別会計予算規模: 約2兆8,903億円(前年度比93.8%)
合計予算規模: 約6兆875億円(前年度比90.5%)

出典:大阪府公式ウェブサイト


・大阪市
令和6年度(2024年度)当初予算:
一般会計予算規模: 約1兆8,000億円
特別会計予算規模: 約1兆2,000億円
合計予算規模: 約3兆円

出典:大阪市公式ウェブサイト


市政と県政は異なりますが、大阪市だけで大阪府の43%の予算規模であることがわかります。

実現したらどうなるの?

大阪"府"が大阪"都"、になる訳ではありません。
そもそも「大阪都構想」という名前が勘違いされるもとです。

これは、東京都のいわゆる"東京23区"のように大阪市を解体し"大阪4区"にするという構想です。大阪市は廃止されなくなることになります。
具体的には大阪市は北区・中央区・波川区・天王寺区の4つに分割されます。

住所はこうなります。

【例】
現在 :大阪府大阪市住之江区○○
都構想:大阪府中央区○○

大阪市西成区という住所にネガティブなイメージを持たれる方がいらっしゃるかもしれません。ドヤ街(あいりん地区)がありますので。都構想が実現したら「西成の地名がなくなる」という主張の仕方をしていた方がいた気がします。

都構想のメリット・デメリット

デメリット

なぜデメリットからあげるかというと、デメリットの①が大きすぎるからです。

大阪都構想のデメリットについては、自民党の元衆議院議員、左藤章氏のブログが非常にわかりやすいです、
もうこのURLを貼っておけばいいと思うのですが、自分の言葉で、自分の見解を出さなければアウトプットの意味がありません。いくつまピックアップし、またはまとめて紹介します。

① もとに戻せない

最初にして最大のデメリットは、失敗したら元に戻せないことです。戻す法律がありません。
ない法律は作ればいいのですが、どれ程のコストがかかるのか、ということです。

したがって反対派は「よくわからなかったら反対して」と主張します。当たり前です。戻せないんですから。

② 権限の低下

大阪市は政令指定都市ですので、大きな権限をもっています。しかし、特別区に分割されると、政令指定都市ではなくなります。

簡単に言えば、政令指定都市で認められている独自の政策がとれなくなります。
また、税収の項目が減ります。
例として、政令指定都市の住民は市に固定資産税を納めます。しかし、特別区の固定資産税は大阪府に納めることになります。
つまり、大阪市の税収として大阪市民のために使われていた税金が、大阪府の税収になるということですね。

他にも、政令指定都市は、市独自で教員を採用することができます。教員は転勤が多いのですが大阪市内に限られますので、地域に密着した教育ができますね。
しかし、特別区になったあとは教員は「大阪府職員」になりますので、ある程度のエリアで市町村をまたいだ転勤が発生します。教員不足が叫ばれているなか、大阪市の教員の待遇を悪くすることになります。

③ 新組織を作るイニシャルコスト

4人の区長、4つの議会、4つの区役所という新しい組織を1から作らなければいけません。この手間にいったいなんの生産性があるんですか
それにどれ位のコストがかかるのか、ということです。
算出根拠が不明なのですが1350億円かかると言われています。
だったら、この1350億円、物価高で苦しむ方々に給付した方がいいでしょう。

④ 住所変更の手間

279万0453人と、大阪市に住所を置く11万3668法人(2021年時点)が、銀行とかクレジットカードなどあらゆるものの住所変更をしなければいけませんよね。
この手間にいったいなんの生産性があるんですか

メリット

① 行政のスリム化

令和6年11月1日の数字で、大阪市の人口は279万0453人です。大阪府の人口の約32 %です。
市役所はも巨大組織にならざるを得ません。
首長の目が届かなくなったり、コロナ禍のようなことがおきた場合、行政がスピーディーに動けなくなるようなことが考えられます。

② 大阪市と大阪府との対立

大阪に似ている土地として愛知県があります。
何かと問題を起こした元名古屋市長の河村たかし氏と、愛知県知事の大村秀章氏が不仲であり、ことある毎に対立していることは有名です。愛知県知事としては、名古屋市なんて解体して特別区にしたいのではないでしょうか(笑)

現在は、大阪府知事の吉村洋文氏と、大阪市長の横山英幸氏は両方とも「日本(大阪)維新の会」に所属しており、簡単に言えばツーカーですので問題はありません。
例えば、大阪市長と大阪府知事のどちらかが維新と水と油である「れいわ新選組」の人間になったらどうなるでしょうか。例えば、れいわ新選組のアンチ維新の先鋒である大石明子氏が大阪市長になって、吉村洋文氏と対立するなんて、こんな面白い政治ショーなどありませんから、正直ワクワクするのですけど、住んでいる方々にとってはたまったものではありません。
府と市で対立し、場合によって連携がとれずに行政が混乱をする可能性は0ではありません。
(だったらどっちも非維新でいいんじゃ…)

メリットともデメリットとも言えること

地域間格差

大阪市内のことは調べても細かい数字を得ることができなかったので、埼玉県さいたま市を例にします。

埼玉県さいたま市は、浦和市・大宮市・与野市が合併して生まれました。その後、岩槻市を吸収しています。
人格がアレな人ですが、さいたま市議会に吉田一郎氏という人物がいます。
彼が言うには「旧大宮市地域の税収の方が高いにも関わらず、旧浦和市地域に対する投資の方が多い」ということです。この人はさいたま市から大宮市を独立させようと主張している人なのですが、理解できる部分もあります。元に戻せっていうことですよね。こちらは戻せますので。

つまり、市税などの徴収額が多い地域は、行政サービスの維持や向上が見込まれます。対して、税収が少ない地域は、行政サービスの低下が見込まれるでしょう。
ただし、特別区として税収の一部を大阪府にもっていかれるため、全体的なサービスは下がる可能性もあります。ただし、大阪市で考えるのではなく大阪府全体としては行政サービスの質が上がる可能性があるということです。

職員数の増加

4つの新たな区役所ができますので、大阪市職員を4分割して割り振っても、職員が足らず、「職員を増やさなければならない=特別区の人件費増加」に繋がると言われています。
しかし、これはメリット・デメリット両方を抱えていると考えます。デメリットは人件費の増加ですが、メリットはそれだけの雇用が創出されることです。

ただ…まあ…、"今"は日本中で人手不足であり、雇用が創出されても人手不足になるだけのような気がします。

まとめ

私は関東の片田舎に住んでいるので、正直「大阪都構想」とかどうでもいいのですけど。

大阪都構想というのは、本質的に大阪市の廃止であり、大阪市を廃止した場合、元に戻すことができないのです。
決めるのは大阪市民の方なのですから。
みたび「大阪都構想(大阪市の廃止と特別区の設置)」に関する住民投票があった場合、メリット・デメリットを知ったうえで、それぞれのお立場でメリットが高い方に投票されるのがよいかと思います。
SNSのショート動画どかで「賛成・反対」を決めちゃダメですよ(笑)

サムネイルの画像引用元は、毎日新聞です。
画像引用元:毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20201101/k00/00m/040/351000c