第50回衆議院選挙の結果、自民党・公明党が過半数を割ることになりました。個人的にはあまり良い結果であるとは思えません。
日本共産党が案山子を大量に立てたのが原因の一つでしょう。「しんぶん赤旗」の2000万円スクープで自民党・公明党に強い逆風を吹かせたのは日本共産党の功績ですが、案山子をあんだけ立てた挙句、野党全体でとれたはずの議席を減らすどころか自分たちまで議席を減らす体たらくで「何やってんだ」と言いたくもなります。


野党の連立政権ができれば良いのですが、自民党が政権を手放すとは思えず、また立憲民主も野党をまとめきれるとは思えず、自民党・公明党の少数与党による国会運営になるのでしょうか。それとも、維新または国民民主あたりを巻き込むのか。どうなるかわかりません。
自民党は、ガソリン税のトリガー条項の件で国民民主党を裏切り、政治資金規正法の改正の件で日本維新の会を裏切ったため、両党の態度は非常に硬いのではないでしょうか。
また、公明党と維新が対立していたり、公明党の代表を国民民主党の候補が落選させるという事態が起きたので、仲裁には非常に労力がかかります。集票力が落ちた公明党を切って、自民・国民・維新の3党の連立という考えもできますが、公明党とはきちんと連立に向けて政策合意をしたようです。



自民党・公明党が過半数割れしている状態ですと、数に任せて乱暴に採決をする今までのやり方ができず、予算や法案はかなり野党に譲歩したものになるはずです。

もし、仮に野党がまとまって過半数をとることで連立政権ができたとして、参議院の多数は自民党・公明党が占めている「ねじれ国会」となるため改革的な法案は通らないでしょう。衆議院は参議院より優先しますが、予算を通すにも自民党・公明党に譲歩した内容にせざるを得なくなります。


今回の選挙の結果、ちょっとはマシになるけど、政治的な停滞が起きるかもしれませんね。

しかし、石破茂にとっては、本当に大変な選挙だったと思います。
石破茂は、安倍晋三に干され続け冷遇されたのですが、ここでようやく総理大臣になったのです。しかし、党内基盤が弱い。その中で、「旧安倍派を排除する権力闘争をしつつ、逆風の中、過半数を目指す」という非常にややこしいことを試みて、見事に失敗したわけですね。
旧安倍派の大量排除には成功したものの、旧安倍派を主とした裏金問題での逆風には耐えられなかったようです。石破茂は、今もなお安倍晋三に振り回され続けている。自民党の権力闘争って、下手な小説よりも面白いと思います。ムカつくけど。

とりあえず言えることは、世の中はちょっとだけマシになることでしょう。自公政権が絶対安定多数から過半数割れしたことで、変な法案を通せなくなったからです。

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よく「野党は批判ばかり」という人がいますが、その手の人は全然わかっていないです。大体の法案は全会一致で可決されていて、問題のある法案に反対しているところだけがクローズアップされているのです。だいたい、与党を監視し批判するのが野党の仕事です。
また、野党は対案としてきちんと法案を提出しています。自公政権が審議をせず放置しているだけですけど。放置されている議案の一覧は衆議院のWEBサイトで確認することができます。
昔、知人がとある法案の成立に向けてロビイングをしていたのですけど、野党にロビイングしても野党提出の法案の審議がされないため、自民党を巻き込んで超党派の議員立法にしないと話が進まないとボヤいていたのを思い出しました。その知人は麻生派の政治資金パーティーとかに参加していましたね。彼は自民党が大嫌いだったので、正直、嫌だったと思います。

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さて、個人的に危惧しているのが、野党の閣僚経験者の枯渇です。
立法府の議員と、行政府の閣僚というのはまったく性質が違うものです。省庁という官僚組織のトップに立つわけであり、官僚を率いてマネージャーとしての仕事をしなければなりません。過半数割れしたとはいえ、自民党はずっと政権与党であり続けていたため、このあたりのノウハウは非常に豊富です。自民党以外の政党に、このあたりのノウハウを身につけさせないと、野党に政権運営能力がつきません。このままだと、定期的に政権交代が起きて腐敗をリセットする、という健全化ができなくなります。別にどこの党でもいいので、7,8年おきに政権交代が起きて欲しいものです。

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アメリカやイギリスをモデルにした二大政党制は、日本にはまだ馴染まないのですね。いつまで、この一強他弱の状態が続くのか。

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