先日、自民党総裁選の日程が9月27日になったと報道され、ポスト岸田の一人とされる石破茂氏(ネットリおしゃべりゲルおじさん)についての記事を書きました。
推薦人20人を集め24日に正式に出馬表明をしましたが、この人が総裁になることはまずあり得ず、なるとしたら「火中の栗を拾わせる」役割をさせられる時であろう、と。


しかしながら、石破茂氏は現在67歳、自民党総裁の任期は3年ですので、任期中に突如の総裁辞任がない場合、次の総裁選のときには70歳になっています。
したがって、石破茂氏に、おそらく次回はないかと思われます。
ほぼ全方位から嫌われる、この男の最後の挑戦となるでしょう。

右足でも左足でも地雷を踏む、この男の最後の挑戦となるでしょう。


しかし8月14日、岸田文雄の、自民党総裁選不出馬表明から、一気にバタつきましたね。

自民党総裁選で、現職の総理大臣が出馬をする場合は、その総理大臣を支える立場である閣僚であったり、総裁を支える立場の党三役(幹事長・総務会長・政調会長)の出馬は"基本的に"ないのです。
その制約がなくなったので一気に出馬を試みる人間が増えたのかとと思われます。

まあ、私としては誰が自民党総裁になろうと、「政権交代が起きて欲しい」と思っていることには変わりないのですけど。

自民党総裁選

そもそも自民党総裁選のルールをきちんと知らない方が多いと思いますので解説を試みます。

位置づけとしては予備選挙である

日本は間接民主制を採用しているため、国会議員による内閣総理大臣指名選挙(首班指名)で総理大臣が決まります。
国会の与党は自民党ですので、それが覆らない限り「自民党総裁=総理大臣」、ということになりますね。

別の選挙システムを持つアメリカの場合、上院・下院はそれぞれ選挙で選ばれ、大統領は国民投票で選ばれます。

さらには、大統領と首相が両方いる国もありますね、フランス・ロシア・韓国などです。
間接民主制と直接民主制にはそれぞれメリット・デメリットがあります。

日本もアメリカも、共通するのは、予備選挙というものがあり日本では自民党総裁選や、野党の代表選挙がそれにあたります。
アメリカでは民主党員と共和党員が、党員投票などによって、「大統領選挙に立候補する人」を決めます。

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この「予備選挙」を都道府県の首長選挙であれば制度化、国政においても野党間で慣例としてしまい、いろいろなところで拡大したらいいのに、と思っています。

ルール

本投票

自民党総裁選は、「国会議員票」と同数の「地方票」からなります。
国会議員票は一人一票、地方票については幹事長が国会議員票と同数を47の各都道府県に割り振ります。
そもそもこの割り振りのやり方については…、謎です。知っている人教えてください。単純な人口比であるのか、または党員の人口比であるのか、選出国会議員の比率であるのか…。
その割り振られた票を、党員選挙の結果によってドント方式で比例配分することになります。

参考までに2012年自民党総裁選の際、47の都道府県に割り振られた地方票と、その結果についてのリンクを貼っておきます。なお、この当時は地方票は300票固定であったことに留意をしてください。

ちなみに、自民党総裁選は、通常は自民党の幹事長が仕切ります。
以前の記事で書いたとおりコロナ禍で行われた2020年自民党総裁選においては、コロナ禍を言い訳に当時幹事長であった二階俊博氏が石破茂氏が不利になるよう地方票を半分に減らしたと言われています。
かつ、地方票の配分は都道府県連が、「党員選挙の結果をみてそれぞれの裁量で割り振っても良い」、と。
本当かどうかは二階氏に聞いてみないとわかりません。
聞けたとして、本当のことを言ってくれるという保証ももちろんありません。

決選投票

自民党総裁選は何人出馬しようと、1位の獲得票数が過半数に満たない場合は1位と2位での決戦投票が行われます。
決選投票と本戦の違いは、地方票の配分が異なることです。
もともと決選投票には地方票はなかったのですが、2013年以降、いつだかにルールが変わって国会議員票+地方票47票になりました。

2012年の決戦投票はすべて議員票で
安倍晋三(108)
石破 茂( 89)

となりました。
なお、第一回投票は安倍晋三(議員54・地方87)に対して石破茂(議員34・地方165)と石破茂が一位であったことを補足しておきます。

2015年・2018年・2020年の自民党総裁選では決選投票は行われませんでした。

2021年の決選投票の結果は
岸田文雄(議員249 + 地方8)
河野太郎(議員170 + 地方39)
となりました。

自民党総裁選の問題点

完璧な選挙システムなど存在しません。それは自民党総裁選についても同様です。

地方票

自民党の党員って、意外と簡単になることができます。
これで結構問題なのが、少しお金に余裕がある人は、家族も党員にしてしまい、1以上の投票権を持ってしまうことです。
更にお金に余裕がある地方の経営者などは、「社員を勝手に党員」にして投票しちゃうってことができてしまいます。
いかにも自民党らしい(笑)。
総裁選の時期にSNSをみると稀に「党員になった覚えもないのに、投票用紙が届いた」みたいに困惑するポストが散見されます。
発送先を会社にしとかなかったんですね。

国会議員には党員獲得のノルマがありますので、そんな厳密に本人確認などをしないのでしょう。
でも、これはまあ自民党に限らずどこの政党もそうなのでしょう。
昔、日本共産党が、党員の数を洗い出したら、亡くなった方や、数年党費を納めていないで辞めたつもりでいた、なんて方が党員としてカウントされていたという話を聞いたことがあります。

国会議員票と地方票の格差

候補者が多ければ多いほど、過半数を取りにくくなりますよね。
決選投票は国会議員票+地方票47票ということは、ほぼ国会議員の投票で決まってしまうということです。
それぞれの後援会と、都道府県議会議員、市町村議会議員、やる気のある党員の地道な活動で、国会議員は選挙に勝つことができます。その結果、「○○のドン」といった地方議員が生まれてしまうのですけど。東京であるとか、新潟であるとかね。
話を戻すと、地方に存在する自民党員の地道な活動で国会における自民党の勢力が拡大すればするほど、その地道な活動をしている方々の票の割合が減ることになります。

これは、とても民主的ではない。
決選投票に限らず地方票の拡大は、石破茂氏や河野太郎氏が訴えていますが、自民党の重鎮はこれらを変える気はなさそうです。

まとめ

自民党総裁選は所詮予備選挙

自民党総裁選はあくまで予備選挙にあたります。
自民党総裁選が行われたあと、総裁が変更になりますので、首班指名を受けた後「国民の信を問う」として議会を解散し、衆議院選挙が行われることでしょう。覆したいのであれば、衆議院選挙でその地域のもっとも有力な野党の候補に投票することでしょう。

権力には腐敗を起こさせないため、権力そのものを定期的に入替をしないければならないと私は考えます。
誰が選ばれようと、自民党が野党に転落して政権交代がおき、衆議院選挙が2回行われるまで、私が自民党に投票することはないでしょう。

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