先日、東北楽天ゴールデンイーグルスに所属する辰己涼介選手の奥さまによる「洗脳」報道のネット記事について「プロ野球選手と税金」という観点からブログ記事を書きました。内容かいつまむと、スキームと、辰巳選手のご両親がおそらく月50万円は抜いているであろう、という推測です。
私は物心ついて以来のプロ野球ファンでして、年間120試合くらいはストリーミング配信で贔屓のチームの試合を観ますし、忙しくなる前は最低でも月2,3回は球場へ観戦に行っていました。他球団のホームに泊まりがけで遠征をしたこともあります。
ただ、楽天は贔屓の球団ではありませんし、もともとプロ野球選手のゴシップに一切興味がありません。辰巳選手が奥さんに洗脳されていようが、両親に悩まされていようが、正直どうでもよいのです。当然ながら誹謗中傷の意図はなく、論評であるつもりでいます。
あくまで、「税金」という観点からです。
【前回のブログ記事】
同じような「プロ野球選手と税金」という観点から、読売ジャイアンツに所属している坂本選手に対するブログ記事も書いています。
【坂本選手についての記事】
先日、辰巳選手のお父上のインタビューがまたデイリー新潮から公開されました。
読んでいる中で、どうにも解せない部分がありましたので深掘りしていきます。
【インタビュー前編】
【インタビュー後編】
解せないこと
おことわり
本記事では「洗脳」が事実なのか、はたまた事実無根なのかや、辰巳選手夫妻がYouTube上で何やらやってたまに炎上していることに関してはコメントいたしません。割とそこはどうでもいいです。あくまでテーマは「税金」ですから。
なお、本ブログの著者である不惑(fxxk)は個人事業主と小さな法人の代表を兼ねており、経営者の端くれではありますが、税理士や公認会計士ではありません。
税金の計算などで、勘違いをしている部分があると思います。
また、本記事の内容はインタビューで公開されている内容から仮説や推測を重ねた上での論評であり、辰己涼介選手夫婦およびそのご両親に対する誹謗中傷をする意図や名誉を毀損する意図はありません。
仮説や推測の上での論評であるため、事実と異なる場合があり、そもそも私は事実を知りうる立場にありません。事実は当事者にしかわからないでしょうから。
不思議なこと
辰巳選手のお父上はインタビューでこう語っています。
セリーナは、私たちが会社を作って息子のために管理していたお金を私らが使い込んでいると本人に吹き込み続けた。それをすっかり息子は信じてしまい、親子関係が断絶させられたわけですから
出典:デイリー新潮
お父上は「使い込み」はしていないと主張をしています。これに対して辰巳選手は、ご両親が辰巳選手の試合に、応援に来られる際の旅費などを個人事務所(法人)の経費として計上していることを指摘しています。
「金の誤解を解くため帳簿を持っていきました。確かに私たちはその会社から自分たちの給料を取っていましたが、それは節税対策であり、将来、あの子が野球を辞めた後のために必要なお金として代わりに貯めていただけなのです。何度も説明してきたのですが、もう一度ちゃんと本人と話をしようと」
出典:デイリー新潮
お父上は、使い込みはしていないが、「会社から給料をとっている」と言っています。
前回の記事で私は「もちろん、両親が受け取った役員報酬は、例えば口座などを別にしていて一切手をつけておらず、最終的に辰巳選手に相続をするつもりだったら話は別ですけどね。」と書きましたが、そのパターンのようですね。
しかし、改めて考えると、なんか解せないのです。
まず、辰巳選手の個人事務所は法人化されており、かかるのは以下の税金です。
・法人住民税 (会社が赤字でも発生する)
・法人所得税 (一律23 %)
この他に、法人事業税というものがありますが、これは辰巳選手の個人事務所は対象外のはずです。
さて、辰巳選手のインタビューで以下のような発言がありましたね。
「たとえば親の保険料にしても1人100万弱ぐらいであり、毎年200万飛んでいった。」
出典:週刊現代
前回の記事で、100万円弱の社会保険料から逆算し、だいたい辰巳選手の両親がそれぞれ月の額面で25万円ほどの給与を受け取っている可能性があると試算しました。
算出は以下のシミュレーターで行いました。
設定は「年齢61歳、兵庫県、一般的な事業」で月給の数字を打ち込んでいったところ、月額25万円程度の役員報酬で、個人・法人負担分あわせた保険料が100万円弱になりました。
月の額面25万円、年間の額面300万円、住民税や源泉所得税、社会保険などの控除分を除くと手取り235万円、といったところでしょうか。これがご両親お二人ですのであわせて月50万円、年間の額面で600万円、実際の手取りだと470万円 になりますね。
これを、ご両親が貯められていたとして、生きているうちに辰巳選手に渡した場合、贈与となります。
年 110万円の基礎控除額を超えた場合は、贈与税かかりますよね。
例えばこの手取り470万円を5年間、貯め続けた場合は 2,350 万円になります。これ一気に渡したら 743万円の贈与税かかります。したがって、辰巳選手の手に渡るのは1607万円になります。
例えば、ご両親が給料を受け取らなかった場合はどうなるでしょうか。
単純に600万円利益が増えるだけですので。
600 * 0.23 * 5 = 690 万円
690万円、法人にかかる法人所得税が増えることになりますよね。
これ普通に法人税を払った方が安いですよね。
ただし、これは2,350万円を一度に渡す、という極端な例えですので、例えば500万円づつ数年にわけて渡せば法人税と比較して贈与税は安くなるのかもしれないですけど。
というか、そもそも会社のオーナーって辰巳選手なんですよね?だったら、なんでいちいち法人からお金を一旦ご両親個人に移す必要があるのでしょうか。富裕層の相続対策とかで、プライベートカンパニーを作るのは常套手段のはずですが、真逆のことをやっていませんか?
例えば会社に現金をプールしておいて、辰巳選手が引退後、月40万円とか、必要な額を役員報酬として受け取る形にした方がやりやすいのではないでしょうか。
とりあえず、あれ?これ節税のためといいつつ、節税になってないんじゃないの?って思いました。改めて辰巳選手のインタビューを読み直したら、同じこと言ってますね。
「というより、税金対策に一切なっていないというところですね。貯めているという認識だったんですけど、貯まっていないので。すなわち使っているんじゃないかということで『(使っていないのであれば)証明してほしい』と話し合いを始めました。
出典:週刊現代
これ、ご両親に悪意があるかとかそういうことはわかりませんが、そもそも節税としてやり方が間違ってるんじゃないでしょうか?。辰巳選手の奥さまの指摘はそういうことではないでしょうか。そこですれ違ってしまっているのではないのかな、と。
まとめ
節税方法としてそもそも間違っているのではないか?
辰巳選手のお父上が、「使い込み」をしているか、「使い込みの意図」があったか否かはわかりません。お父上のインタビューを見る限り、その意図はないと主張をされています。
単純に私が思ったのは、「節税の仕方が間違っているのではないか」ということです。なんか、私がやった方がうまくできそうな気がする。そして、それは辰巳選手の奥さまも一緒なんじゃないでしょうか?
とりあえず、ご両親が給料とるなら、額面は45,000円一択でしょ。
そもそも節税というのは、「減る税金以上にお金を遣わなければいけない」のです。したがって、多くの場合、節税をしない方が手元にお金が残ることになります。税金の仕組みって腹が立つくらい、よくできているのです。
いちおう、会社のオーナーがご両親どちらか、または両方の場合はちょっと話が異なります。将来株式を辰巳選手に相続または贈与することになりますよね。
この場合、非上場企業でも株価というものが存在しますので、算出した株価分の相続税や贈与税が発生しますので、一度お金を法人の外に出すのは有効な手段かもしれません。
でも、それだったら株価上がる前に個人事務所の株式を贈与しちゃったらそれが一番安いですよね。
しかし、会社のオーナーは辰巳選手だとインタビューからは読み取れます。だったら、わざわざお金を法人の外に出す意味ってないんじゃないでしょうか。会社にお金貯めておいて、現役引退したあとは、例えば月30万円の役員報酬を辰巳選手に払う、とかそういうやり方じゃダメなんですかね。
どうも、素人が節税をしようと思って、なんかややこしいことをし始めて、数字を出すと結局損をしている、とかそういうパターンじゃないのかな。
やっぱり解せないなぁ。
とりあえず、こじれちゃってるみたいですねぇ。
双方、弁護士を通して、税理士などの力を借りて「どういう意図でこういうことをしている」といった、理詰めで話し合いをするのがまっとうだと思いますよ。
辰巳選手の親子関係、夫婦関係が良好でありますように。
一連のゲンダイの記事はこちらで、時系列順に並べています。
【①】
【②】
【③】
【④】
【⑤】
今回の、新潮の記事のリンク再掲です。
【前編】
【後編】
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