都知事選に、立憲民主党の蓮舫氏が立候補を表明しましたね。


都知事選は、この記事を書いている時点では出馬表明をしていませんが、小池百合子氏と蓮舫氏の一騎打ちの様相が見られます。広島県のどこかの市の市長がいますが、地方組織もなしに浮動票だけで選挙に勝てるとは思っていないでしょう。単純に、来年ある広島県知事選挙に向けてのパフォーマンスだと考えられます。


私は、都民でもなければ月に片手で数えるほどしか都内にも行きません。
ほぼほぼ、誰が都知事になっても無関係なんですけど、国政・地方選挙問わず選挙をウォッチするのは好きなんですよ。
なので都知事選についても気にしてはいます。

支持・不支持というお話ではなく、個人的には現職の小池百合子氏が負けるとは思っていません。
また、蓮舫氏が本当に都知事選で当選を目指しているか、についても疑問に思います。当選したらラッキー、くらいなのではないかと。
現在参議院議員である蓮舫氏は、議員を辞職することになります。いずれ補欠選挙が実施されますが、この情勢で補欠選挙において自民党が勝つことはないでしょう。
彼女は、都知事選で2位で落選した後、衆議院選挙で東京のどこかの選挙区から立候補すると思います。東京は選挙区増えましたからね。衆・参の鞍替えに都知事選を経由して、更に知名度を上げたりパフォーマンスをする作戦なのではないかと考えます。
前回の記事でも書きましたが、私は個人的に蓮舫氏が好きではないです。。。
しかし、蓮舫氏が出馬するにあたって、彼女を中傷するデマがたくさん流れると思いますので、あらかじめそれを打ち消す記事を書こうと思います。公平ではないし、誰であってもデマによって中傷されるべきではないからです。この記事は、都民の方への蓮舫氏への投票を推奨するものでも、逆に投票しないことを推奨するものでもありません

死ぬほど長文になりましたので記事を3つ位に分けないといけません。今回はその2回目です。
前回は二重国籍問題について書きました。結論としては、二重国籍は既に解消されているのです。


デマを広めるのは簡単なのですが、打ち消すのには非常に労力が必要です。しかしまた無知な人はデマを拡散します。
デマというものは、非常に罪深いものです。

「2位じゃダメなんですか!」という発言について

結論:発言の切り取り。どちらかというと助け船を出してる

「2位じゃダメなんですか」は、民主党政権時代の「事業仕分け」でスパコン事業についての会議の際に蓮舫氏がした発言です。
この事業仕分けの結果、スパコン事業は一時期凍結されました。 多くの方は、こう誤解をされていると思います。
"コンピュータのことをよくわかってない生意気な小娘?(当時41)が、世界一のスパコンを作ろうと努力をする研究者達に対して「2位じゃダメなの?」なんて政治パフォーマンスで予算を凍結した。けしからん!"

結論から蓮舫氏と、蓮舫氏と一緒に事業仕分けに参加した有識者は何もおかしなことを言っていません。
どちらかというと、研究者の方がおかしな事を言っていて、質問にほぼ回答せず禅問答のようになっているのです。それは後に研究者自身が気付いています。

これね、蓮舫氏も言ってますけど、「議事録をちゃんと読んでください」ですよ。まったくです。使われた資料や議事録のリンクは後半に用意しております
話を戻すと、「2位じゃダメなんですか」は前後の議論をすっ飛ばして、その言葉だけを切り取られている典型です。 事業仕分けには、蓮舫氏をはじめとした議員だけでなくその分野の有識者が評価者として参加しています。

スパコン事業は、当初、理化学研究所と富士通・日本電気(NEC)・日立製作所が参画していましたがNECと日立が撤退しました。
参画していた企業はそれぞれの分野(スカラー型とベクトル型)で強みがあるため、撤退をすることでスパコン事業は大きな仕様変更をしなければならなかったのです。
既に700億円のお金を使っていて、予算を100億円超過しています。そのうえ、追加で700億円の予算をくださいと言われていました。

完成したら世界一の"計算能力"を持つスパコンができますが、アメリカが同時期にそれ以上の性能のものを開発すると発表していました。
つまり、アメリカより先に完成できたとして1位になったとしてもほんの短い期間であり、アメリカに開発で負けたら完成時点で世界2位以下のものができあがります。

件の発言にいたる前の議論で、評価者の一人、金田康正氏(当時は東京大学情報基盤センタースーパーコンピューティング研究部門教授)より、「計算速度を全部使うことってほぼないんだから、10分の1の性能のやつを10個作った方が利用者は便利だよ。」とかそういうお話も出てるんですよね。これなら、普段は10倍の人が使えますからね。それ以上の計算速度が必要になったら10台同時に動かせばいいんですよ。
以下は議事録の引用で、その発言に至った文脈です。



 ○中村進行役
具体的に次世代スパコンの事業予算の問題に論点を絞って、また改めて御意見、御質問をいただきたいと。

泉内閣府大臣政務官
これは、インターネットも含めて、多くの国民の皆さんも見ておられるということもあって、いただいている資料でやはり期待される効果というのは、あるのはあるんですが、高度な技術に対して国民の理解をというのは、大変難しいことかもしれませんが、やはり実際どう生きてくるのかが見えてこないと。 国民に伝わっているのは、例えば気象の予測が局地的にできるようになるということに、果たしてこれだけのお金を投じる必要があるのだろうかということも、実際にはなかなかつながってこないというのがあると思うんです。 ですから、皆さんが今、本当に国民生活に向けて、届けたいメッセージが何なのかということをお答えいただきたいのが1つと。 もう一つは、アメリカが24年までに同じ10ペタのものをつくろうとされているというふうに伺っている中で、日本としてのトップワンでいられる期間は、どれくらいだと考えておられるのか。恐らくアメリカが本気で挑戦をすれば、すぐまた順位が入れ替わるということが想定されるのではないかという中で、果たして一時的にでもトップを取るということの意味が、本当にどれくらいあるのかということも、併せてお聞きしたいと思います。

○説明者((独)理化学研究所)
私は科学者といいますか、研究者でございますので、研究者の立場から発言させていただきたいと思います。先ほどから、例えば費用対効果の話が出ておりますけれども、サイエンスには費用対効果に馴染まないものもございます。勿論、経済効果とかそういうことも必要でございますけれども、そういう部分がございます。 例えば基礎科学の分野でいきますと、宇宙のビッグバンはどうやって始まったのかとか、鉄以上の元素はどうやってできたのかとか、あるいは星の誕生はどういうものか。これができるのは、実はシミュレーションだけなんです。こうした大型スパコンを使ったシミュレーションだけです。例えば地震のシミュレーションにしても。

○中村進行役
その一般論は皆さん共通の認識でございますので、これだけのお金をかけてこれを来年度やる必要性について、具体的にお答えください

○説明者((独)理化学研究所)
こうした国民に夢を与える、あるいは世界一を取ることによって夢を与えることが、実は非常に大きなこのプロジェクトの1つの目的でもあります。

○蓮舫参議院議員
思いはすごくよくわかるし、国民に夢を与えるものを、私たち全員が否定しているものでは全然ありません。ただ、ちょっとわからないのは、今回あと700億円を投じて、今回のスパコンができること。この段階で既に100億円を超える予算超過をして、今後700億円を投じて国民に夢を与えたい。それは本当にこの額が必要なのかどうかというところを、もうちょっと教えていただきたいんですけれども。 国家に必要な最先端IT技術の獲得が目標にあるんです、そして比較参考値で、今日いただいた中には、中国が1ペタを開発していて、アメリカが間もなくで、もう日本はアメリカの後にいるんだと。世界一になる理由は何があるんでしょうか。2位じゃだめなんでしょうか。 あるいはアメリカがつくった後に、そこになってある意味ソフトあるいはどこかで共同開発、つまり日本とアメリカが一緒にできるような、何かそういう夢の共有というのは、できないんでしょうか。なぜ1位なんでしょうか

○説明者((独)理化学研究所) 現在の科学技術では、スパコンなしでは最先端の科学技術の発展というのは、不可能に近いところがございます。そして世界一の研究というのは、世界一の装置。

出典:議事録
太字は引用者
長いので、これ以上の引用はやめておきますが、質問にまったく答えていなことがわかります。今後もこの調子で、かみ合わない問答が続くのですけど。

蓮舫氏は、「できれば予算を通してあげたい」という想いがあったのでしょう。蓮舫氏が一貫して聞いているのは「時限的でも1位になればどんなメリットがあるの?2位になったらどんな不利益があるの?」ということなんです。
それに対して「世界一の研究というのは、世界一の装置が必要です」「2位にならないよう全力を尽くします」とトンチンカンな回答をしている。

助け船を出しているようにも見受けられます。トンチンカンな答えに対して「1位を目指すのはわかったから、1位になれなかったらどうなるの?(この研究が無駄にならないと主張してください)」という蓮舫氏の質問に対してまた「この国は競争に遅れて不利になります」とまたもトンチンカンな回答をしている。だって1位になったとして、それは時限的なものとわかっているのですから。

トンチンカンな回答をしている側は予算を申請している立場ですよ。
普通に考えたら、申請した予算を通すためには「結果2位になっても国民にはこんなメリットがありますので無駄になりません!だから予算をください!」という回答が正しいですよね。だって予算欲しいんでしょ?

数年後に練り直しをして、予算が復活した結果、最終的に「京」は完成しましたが、そんなに使い勝手の良いモノではなかったでしょう。 なお、「京」の次のスパコンである「富岳」は「京」を反省したかのようなコンセプトで作られています

「富岳」というのはスペックだけ見ても素晴らしいものです。
CPUはそこらのスマートフォンですら利用しているARM系であり、OSも「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」という汎用的な、そこそこの企業であれば普通に導入しているものです(当然、チューニングやカスタマイズはされているでしょうけど)。
なので、大学のそこらの研究室は小さなサーバーを持っていますが(今はクラウド使ってるかな)、そのサーバーをARM系CPUを採用してOSをRHELやRHEL互換Linuxにすれば、計算能力が必要なときに、ほぼそのままで「富岳」を使える訳ですね。
逆に言うと「京」のCPUはSPARCというあまり使われない、そして非常に高価なものであり、大学のそこらの研究室に気軽に入れられるようなものではありません。

ユーザーの「使い勝手」っていうのはこういうことです。

スパコンに関しては同じようなこと、河野太郎氏も言ってますね。さすがIBM出身。


結論を繰り返すと、蓮舫氏と、蓮舫氏と一緒に事業仕分けに参加したメンバーは特におかしいことは言っておらず、むしろ良い方に進んだ例と言えるでしょう。

議事録・関連リンク

  • 平成21年度11月13日(金)の配布資料
  • 平成21年度11月13日(金)の議事録
  • 事業仕分けに参加した評価者の一人、伊藤伸氏(現:デジタル庁参与)の記事
  • 事業仕分けに参加した評価者の一人、故・金田康正氏(当時は東京大学教授)のインタビュー

まとめ

「2位じゃダメなんですか」に対してのまとめ

  • 発言の切り取りであることは議事録を読めばわかる
  • 蓮舫氏は助け船まで出していたが、予算を申請する理化学研究所の回答がトンチンカンだった
  • 少なくともスパコンの事業仕分けに対しては評価者として有識者が参加して単なる政治パフォーマンスではなく、あの結論も妥当
  • 「京」の事業仕分けでの経験を生かし「富岳」が生まれ非常に意義があるものだった

デマを打ち消すのには、本当に労力が必要ですね。
繰り返しますが、別に私は蓮舫氏のことを応援している訳ではありません。個人的にはああいう方は苦手です。かといって、デマで人が中傷されるようなことはあってはならないと考えます。

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