タイトルの通りです。いくら出口戦略を立てたところで、税制度や法制度が変わるので、イタチごっこになるのですけど。
私の場合は今のところ、19年後にリタイア(おそらく働くけど楽な仕事へ)する予定ですので、今から出口戦略を考えてもどうせ制度変わってるでしょう。こう書くと、出口戦略を立てること自体が無意味に感じるかもしれませんが。常に出口を意識して投資をすることは大事なのではないかと考えます。

先日、国民健康保険に加入している人は、金融所得があった場合に保険料が上がるという税制改悪が検討されている、というニュースに対して記事を書きました。



どうも、これが新NISAにも適用されるのではないかという話があるらしく、案の定、今のところ関係なさそうな中途半端な自称「投資家」がTwitter(現X)で騒いでいましたね、、、

まあ、この手の人たちはだいたい「FIRE」するのが目標みたいなんですけど、この国は人口が減少していきますし、今ですら人手不足ですからね。。。



これ、定年退職やリタイアをされて、十分な金融資産から運用益を得ている方と、早期「FIRE」して、NISAや特定口座の金融資産から収入を得て、確定申告を(する必要が無いから)しないため社会保険料が安い人を狙い撃ちしている感じですよね。
政府が「働けるなら働け」というのはまあわかります。日本国憲法で数少ない国民の義務は「勤労の義務」・「納税の義務」・「教育(を受けさせる)の義務」です。まあ、政権与党には納税もしなければ憲法以下の法律すら守れない議員がたくさんいるんですが。繰り返しますが、日本は人口が減少して人手不足ですからね。
そんな中、一部のクソ企業が行う技能実習生への奴隷的な待遇や、これはどこの国にもいますが差別をする人たちの存在、そして最近の円安などがあります。
移民を「受け入れる」というか、多少国が混乱することを承知のうえで、移民に「頭を下げてでも来ていただかなければならない」ような状態なんですけどね。前述の理由から、とっくにこの国は魅力的な存在ではなくなっているため、もう来ていただけないのではないかと思います。
まじめに、将来的にはこの国は滅んでアメリカの州の一つになるか、中国の自治区になるか、どちらかになるんじゃないのですかね。

話を逸らしてしまいましたので、元に戻します。個人的な見解としては、新NISAは上記の保険料の対象にはならないと考えています。新NISAを狙い撃ちするのは、まだ早いんじゃあないでしょうか。たぶん、(私もそうなんですが)最速で枠埋めたいと思って実際そうした人がでてくる5年後くらいにそうなるんじゃなかろうかと。

先に手をつけられるのは、iDeCoじゃないですかね。
iDeCoって、一括で受け取るか、年金形式で受け取るかを選べるのです。一括で受け取る場合は退職所得となって課税されるのです。その退職所得控除を減らす、という税制改悪が検討されています。



さんざん、(日本の年金システムは崩壊しているから自分でなんとかしろというばかりに) iDeCoは得だよ~、全額所得控除になるよ~、節税になるよ~、運用益は(受け取りまで)非課税だよ~、と煽っておきながら、制度始まって20年ちょっと経ってコレですからね。
余談ですが、昔はiDeCoという愛称ではなく、日本版401kという通称でした。


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まあ、こういった社会保険料の改革ばっかりは、例え自民党政権から別の政党に政権交代したとしても、政権与党が、緊縮財政を続ける限りは変わらないのではないでしょうか。積極財政の政党でも、たとえばあり得ない話ではありますが、現代貨幣理論(以下、MMT)を掲げるれいわ新選組とかが政権握ったとして、MMTにおいてはインフレのコントロールは税率で行うはずで、MMT的には今は増税するのが正しいと思われ、結局しっちゃかめっちゃかになると思います。ある程度円高に寄せながら、国債を刷って積極財政するってどうやるんだ?また、MMTにはスタグフレーションに対する言及ってなかったはずなんですよね。
また、基本的に官僚はアメリカと距離を取りたがる政治家の足を引っ張る傾向にありますので、仮に政権交代が起きても劇的によくなることはないのではないか、と。民主党政権のときも官僚の反発を受け、結局、官僚との折衝のために元自民党の大物政治家を閣僚として迎えてましたからねぇ。この大物政治家、思想信条はともかくとして、メチャクチャ優秀な人だったのでしょうね。
さて、前置きがクソ長くなりましたが、ここからが本題です。

iDeCoについて

現在の税制の中で、iDeCoの出口戦略について考えてみます。この国の年金システムは既に崩壊していると思うのですが、これは別の議論になりますので置いておいて、年金システムが正常に機能していることを前提としています。

iDeCoの受け取り方に関する出口戦略

iDeCoには、3つの受け取り方があります。

  • 一時金として受取 (退職所得として課税)
  • 年金として受取 (雑所得として課税)
  • 一時金として半分、残りを年金として受取 (一時金は退職所得 / 年金は雑所得)

受け取り年齢は、60歳以上で、拠出から10年経った後ですので50歳までに始めたかたは60歳です。
このあたりは関係しませんので、一律で60歳としましょう。

受け取り方を決める2つのポイント

ポイントは2つだけだと考えます。

  • iDeCoの他に受取れる退職金があるか
  • iDeCoの他に金融資産があるか

まず、iDeCoの他に受け取れる退職金があるか、ないかというお話になるかと思います。
サラリーマンでも退職金がない会社はいくらでもありますし、なんなら日本の大半は中小企業なわけで、退職金制度がない会社の方が多いと思われます。退職金制度の有無の調査って厚生労働省の統計だと従業員30名以上の会社が対象ですからね。従業員30名以上の会社って全体の3.6 %ですから。

私は自営業なので、当然退職金などなどないと思われがちですが、そんなことはありません。
小規模企業共済という、国がやっている自営業向けの退職金制度がありまして、それに加入して、最近は毎月満額の7万円を積立し続けています。
これもiDeCoと同じく、一時金として受け取るか年金として分割で受け取るかを選択することができます。
iDeCoと違うのは、この中から借入ができたり任意に解約ができるので、預金に近い性質のものであり、確実にインフレの影響を受ける、ということですね。

話を戻しますと、iDeCoと(でるなら)退職金の想定額を算出して、そこから退職所得控除からはみ出して発生した税金の額を計算します。
また、年金として受け取った場合に発生する住民税・国民健康保険料の額をシミュレーションして、その時点でどちらが得かを検討する必要があると思います。

でもまあぶっちゃけ、iDeCoの他に十分な金融資産がある場合は、あんまり気にしないで一括で受け取っちゃえばいいんじゃないですかね。複数の金融資産があって、それぞれ別のあれこれ考えなければいけないのですから、まとめちゃった方が楽でしょ。

一般論

"現行の税制度"では一時金として受け取り、必要な分を生活資金として残りを再投資をした方がよいと考えます。
これは、見直しが検討されていますが、現在は退職所得の控除額がかなり大きいからですね。


NISAの枠が残っている方などは、一時金を受け取ったあとに生活資金を除いてNISAに入れるのもいいかもしれません。別に預金のままでもいいですけど、インフレの餌食になる恐れがあるので。。。

国民/厚生年金に+してiDeCoのような個人年金や企業年金を受け取ってしまうと、その分の毎年の所得が増えることになります。
所得が増える場合、以下のような悪影響が発生します。

  • 高額療養費制度の上限が上がる (入院などの際にかかるお金が増える)
  • 住民税の額が上がる
    → そもそも住民税が発生しないレベルの所得の場合、自民党がたまにやるバラ撒き一時金の恩恵を受けられます。また、自治体によりますが、所得が低いと月の医療費の限度額が低い、など多くの支出が減るメリットがあります。そういう恩恵を受ける人が「実は金融資産たくさん持ってて配当所得もらってます~」なんて状態なら、それは狙い撃ちされますわ。
  • 国民健康保険の額が上がる
家計でも経営でも共通すると思うのですが、固定費を増やすのって悪手ではないでしょうか。
参考:父親の老後ケース

iDeCoも退職所得・年金雑所得両方に関わりますので、iDeCoをやっていた訳ではありませんが、父親のケースを書いてみます。
私の父親は、定年するまではかなりいい会社(東証プライム上場)で働いていました。で、中途入社だとしても30年近く働いていて、それなりの額の退職金は出たらしいです。その退職金の半分を一時金として受け取り、もう半分を年金形式(企業年金)として75歳まで分割で受け取るようにしたそうです。

この結果、企業年金と厚生年金の合計額が雑所得として課税されています。70歳以上・75歳未満ではあるのですが、確定申告をしないで控除できるものが控除されていない結果、国民健康保険の分類上は現役並所得者、となっています。所得税自体はたいしたことないのですが、住民税と国民健康保険料の値段がなかなかの金額かかっています。
全額一時金として受け取って、インデックスファンドでも買っておけば良かったのに、と思いました。まあ、当時はNISAなんて制度はなかったですし、インデックスファンドも今ほど注目されていなかったのですし。後からならなんとでも言えますよね。

本筋とは関係ありませんが、父は介護が必要になり先日入院もしています。
今年は、会計事務所に(一般的な)アドバイスをもらいながら確定申告を手伝う予定なのですが、大した金額ではない所得税の還付を受けるというよりは、住民税と国民健康保険料を削減するのがメインになりますよね。実家のある自治体独自の制度も調べまくってまして、少しでも両親にお金が残るようにするつもりです。

参考:おばの老後ケース

私個人とは絶縁状態(関わりたくないため)にあるため、iDeCoなんてやっていないでしょうが、私のおばのケースも書いておきます。聞いた話ですけど。
まず、おばは離婚をして単身で暮らしており、貯蓄もほぼない状態だと思われます。年金額も大したことがないのか(離婚の経緯から、年金分割をきちんとしなかった可能性が高い)、70歳を超えてもまだ働いているそうです。こうなるに至った経緯は、もちろん本人のせいではないのですけど。
このケースの場合、フルタイムで働いていなくとも、100万円以上の給与所得を受けた場合は住民税が発生します。住民税非課税世帯に対する行政の支援は手厚いものがありますからね。
自民党がよくやるバラ撒きに対して「お金があって働いていない人は住民税がなくて、7万円もらえる。自分はお金がなくて働いているから、住民税が発生するから7万円もらえない。不公平だ」とボヤいていたとかなんとか。選挙の投票をもって岸田と自民党に物申しなさいな。

このように、一般的にはリタイアしてもおかしくない歳に所得があるのは、生活の固定費の増加に繋がります。十分な余裕があって、元気だから働くならまだしも、お金がなくて仕方なく働いている人にとってはやりきれない思いがあるでしょう。

なお、癖がある人なので前述の通り、そのおばとは関わりたくないので関わってません。今後も関わるつもりもないです。

不惑のケース

私はどうか考えてみます。
結論から、私が将来に受け取る国民年金の額というのはかなり少ないはずで、年金だけであれば、下手したら住民税非課税でもいけるかもしれません。
したがって、一括で受け取る方が得ではないかと考えます。

私はバンドをやりながらフリーターをしていた時期があり、国民年金を払っていなかった期間が数年あります。また、独立してからは国民年金です。

今年の1月に法人を立ち上げた関係上、法人役員は厚生年金と協会けんぽに強制加入のため、今はまた厚生年金に戻っています。しかし、立ち上げたばかりの法人は全然儲かっていません。真っ赤っかですので、役員報酬は最低限しか受け取っていません。

老後2000万円問題みたいなのが昔話題になりましたね。あれは、38年間サラリーマンを続けた夫婦が30年生きる場合、という試算で、不足するのが2000万円だったはずです。ちなみに、インフレ率が今と異なりますので、今だったら2500~3000万円くらいになるのでしょうか。
老後2000万円問題の是非はおいておいて、このモデルケースの夫婦のように、それなりの額をもらって、それなりの厚生年金保険料を納めてきた方とは比較できません。

サラリーマン時代は最後の会社を除いて薄給でしたしね。。。

そのため、iDeCoを年金で受け取って、住民税や国民健康保険料を上げてしまうのは悪手であると考えます。
したがって、"現行の税制度では"iDeCo/小規模企業共済ともに一括で受け取る方が得ではないかと考えています。

だいたい今のところのiDeCoの掛け金が累計で250万円くらい、これに追加で 18年 * 12ヶ月 * 2,3000 を積み立てて、運用益が全くでていない場合で、ざっくり 740万円くらいになります。
今のところ、小規模企業共済の掛け金が累計で150万円くらいありますので、これに18年 * 12ヶ月 * 70,000 を追加で積み立てられた場合は、ざっくり1600万円くらいになります。

あわせて2340万円で勤続25年 (iDeCoの積立期間)で税金を計算してみました。現行の税制度ですと140万円くらいの税金を支払わなければなりませんね。

iDeCoの受け取りから15年間生きると仮定します。
年金として受け取った場合に、住民税/国民健康保険が 年間 9.3万円 上がるかどうか、が一つのポイントになるのでしょうか。


ちなみに、国民年金を受け取り始める65歳までの生活費を試算して、そこから、余ると思われる金額は、再投資をすると思います。

iDeCoの運用に関する出口戦略

iDeCoは受け取りの他、運用についても出口戦略が必要だと思っています。好きな時に取り崩せるNISAと異なり、iDeCoは好きな時に取り崩すことができないからです。

運用先についての2つのポイント

こちらもポイントは2つあると考えます。

  • 受け取り時期から逆算した運用期間
  • 確実に受け取りたい金額

一番大きいのは受け取る年齢60歳から逆算して、あと何年運用ができるかで変わってくると思います。


例えば、大学卒業して新卒で働き始めました!というフレッシュな若者であれば、迷いなくS&P500や全世界株式インデックスを選んだ方がよいでしょう。出口を意識するのがかなり先ですからね。


50歳を超えて運用期間が10年を切っている場合は、iDeCoは節税商品と割り切って運用先を国内債券や定期預金のような利回りの低く元本が保証されているものにするのも手です。
この傾向は、運用期間が短ければ短いほど、ですね。元本が保証されているものにした方がよいでしょう。


iDeCoで運用できる商品のなかには、ターゲットイヤー型投資信託という、受け取る年に一番利益が上がることを"目指す"ファンドがあります。こういうの、一見すると悪くなさそうに見えそうですが、これらのファンドも、戦争などによる「世界恐慌などの世界的な株安」や「急激な為替の変動」を予想できる訳がないのです。したがって、他の投資信託とリスクは変わらないのですよ。だったらインデックスファンドでいいんじゃない?と思います。

あとは、運用期間が長い人の場合、「確実に受け取りたい金額(リスクをとりたくない金額)」と「リスクをとれる金額」を考えてみては良いかと思います。
60歳にiDeCoを一時金で受け取るとして、国民年金の受給を受け取るのが65歳ですよね。例えば、この5年間の生活費を見積もって、その金額は定期預金や債券などにスイッチして、残りを株式のインデックスファンドで運用してリスクをとる、などです。

上記は、現在の税制度や経済状況においての、あくまで私個人の考察です。投資は自己判断でお願い致します。

不惑のケース

私のケースです。現時点(2024/05/10)で、iDeCoの時価評価額は410万円ほどでした。

私は、iDeCoの受け取りまであと約19年あります。

過去6年間、投資金額のすべてを全米株式(VTI)で運用していたのですが、最近すべてをS&P500インデックスにスイッチングしました。S&P500インデックスは、USドルベースではどの10年を切り取っても利益がでると言われているので、気にするのは「世界的な株安」・「急激な為替の変動」だけですね。(まあVTIもS&P500も大して変わらないか…)

これらのリスクを鑑み、13年間、S&P500インデックスで運用することにします。あとは情勢に応じて以下の対応をとるつもりです。
・14年後に「世界的な株安」や「急激な為替の変動が」起きていた場合はそのままS&P500インデックスで運用を続ける
・「世界的な株安」や「急激な為替の変動が」起きていない場合
→ iDeCo以外の他の資産を鑑みて、もしリスクをとれるようだったら半分はS&P500インデックスのまま、残りは債券と定期預金に分散、などのポートフォリオを調整する。5年分の生活費とか細かいことは考えない。一時金で受け取る予定であるため、余剰分は再投資するため

まとめ

ポイント (と私が思うこと)

  • 遅くとも受け取りまでの残り10年を切ったあたりで、出口戦略を常に意識して情報をアップデートし続ける
  • 受け取り方法を、常に最新の税制度で検討する
  • 残り運用期間を基準に、経済動向に応じて運用先をスイッチする
でもまあ、私の理想って60歳で仕事を辞めて、1年間好きなことをして、61歳でスパって死ぬことなのですよ。資産運用をしているのは、あくまで「長生きをしてしまった場合に」備えてです。健康になんてまったく気を遣ってませんしね。
死ぬときが一番お金持ち、大いに結構!死んだ時に、甥っ子が貰ってくれるならそれでいいです。

とりあえず、この本読んでみようかな。でも、まだ決まってない税制改悪まで絶対に網羅していないので、買わなくていいかな。

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