楽天ゴールデンイーグルスの辰巳選手の「洗脳」記事が週刊ゲンダイからでていますね。
私は物心ついて以来のプロ野球ファンでして、年間120試合くらいはストリーミング配信で贔屓のチームの試合を観ますし、忙しくなる前は最低でも月2,3回は球場へ観戦に行っていました。他球団のホームに泊まりがけで遠征をしたこともあります。
ただ、楽天は贔屓の球団ではありませんし、もともとプロ野球選手のゴシップに一切興味がありません。辰巳選手が奥さんに洗脳されていようが、両親に悩まされていようが、正直どうでもよいのです。
しかし、「プロ野球選手と税金」という観点でこの記事を読むと、なかなか興味深いということに気づきました。私も辰巳選手も個人事業主ですからね。

[辰巳選手のインタビューその①]


[辰巳選手のインタビューその②]


今回は、プロ野球選手と税金というテーマで、↑の記事を読み解き、深掘りしていきたいと思います。

個人事務所「RE○」

RE○という企業について

インタビューから読み取れる内容を箇条書きにしていきます。
  • 出資者は辰巳選手である
  • 個人事務所とあるが、法人化されており、辰巳選手の母親が代表を務めている
  • プロ野球選手になる際の、契約金はRE○に振り込まれている(?)

RE○のビジネスモデル

記事から読み取れない部分を深掘りしていきます。
まず、NPBの統一契約書を読み解くに、球団と選手の間に、マネジメント会社が介入する余地はないと考えます。


したがって、辰巳選手の年俸がRE○に支払われることはないと考えられます。各球団、年俸の他にグッズ収入のインセンティブが支払われるはずなのですが、それは個人とマネジメント会社どちらに支払われるかはわかりません。(詳しい方教えてください)

年俸について、どういうスキームにするかというと、辰巳選手がマネジメント料として年俸の、ある程度の部分をRE○に支払います。
それを辰巳選手個人の経費として計上して、辰巳選手の個人所得を減らして、結果、所得税と住民税の「節税」をしているのでしょう。RE○側で法人所得税が発生しますが、ある程度の金額になると、個人の所得税より法人所得税の方が安くなりますので、収入を法人に付け替える感じですね。一般的に、所得900万円を超すと法人化をした方が節税になると言われています。法人税率は23 %で固定ですが、個人の所得900万円以上の場合、累進課税で税率33 %になりますので。


辰巳選手と両親の仲がこじれたのは、おそらく辰巳選手は奥さんからの指摘でRE○への入金をやめたんじゃないかと推測します。インタビュー中で「(妻も)経営者ですので」、と辰巳選手が発言していたので。
また、プロ野球選手としての契約期間(2月~11月)以外の月のテレビ出演などの活動であってり、例えば辰巳選手のCM出演や講演会、インタビューの謝礼はすべてRE○の事業収入としていたはずです。

役員報酬や保険、年金

辰巳選手の役員報酬・保険・年金

インタビューに月10万円のお小遣いとありましたが、これはおそらく役員報酬でしょう。
手取り10万円ですと、だいたい13万円くらいの給与をRE○から辰巳選手に支払っていると考えます。以下サイトで、「兵庫県(辰巳選手の出身地)・27歳」で金額を入れて算出しました。役員賞与を出すと更に社会保険料が削減できますが、計算が複雑になる(面倒くさい)ので賞与は考慮していません。



個人所得が多いまま、国民健康保険に加入する場合、900万円に個人所得を抑えたとしても、月10万円近くの国民健康保険料(税)と国民年金保険料を支払う必要があります。
しかし、法人の役員は社会保険に強制加入です。国民健康保険より、法人の健康保険組合の方が優先されるため、結果、健康保険料が安くなっています。厚生年金と健康保険の個人負担分がだいたい月2万円くらいですので、法人負担分とあわせると、月4万円なので年額48万円。国民健康保険の場合は年間120万円くらいですので、年間72万円の社会保険料を削減していることになりますね。
また、額面13万円の等級でも法人負担分がある厚生年金に加入することで、国民年金(月額 \16,520)よりは手厚く年金が受取れることになりますね。年金制度が崩壊しなければ、、、

辰巳選手の、両親の保険・年金

辰巳選手のインタビューで、両親の保険料がそれぞれ年間100万円弱づつ、毎年200万円弱、という発言がありました。これが事実なら相当ヤバいと思います
この数字がでてきたのは総勘定元帳や決算書がベースなようなので、この金額を健康保険料と厚生年金の個人・法人負担分の総額だと解釈します。なぜかというと法人が一括で年金事務所に納めますので。辰巳選手の母親が代表であることは前述しましたが、この発言から父親もRE○の役員であることが読み取れます。

この保険料の額から逆算して、辰巳選手の両親の役員報酬を計算します。

・地域は、辰巳選手の出身地である兵庫県とします
・両親の年齢は65歳未満と仮定します

以下のシミュレーターで「年齢61歳、兵庫県、一般的な事業」で月給の数字を打ち込んでいったところ、月額25万円程度の役員報酬で、個人・法人負担分あわせた保険料が100万円弱になりました。
したがって、辰巳選手の両親はそれぞれ、月の額面で25万円(年額300万円)程の役員報酬をを得ていると考えられます。これ二人あわせると年額600万円ですので、ちょっと笑えない金額になりますね。こちらも賞与考慮すると面倒くさいので、賞与は考慮していません。

きちんと仕事をしていたら別にいいのかもしれませんが、年額600万円分の付加価値のある仕事って相当ですよ。有能な経営コンサルやFP、税理士であれば別ですけど、素人が息子のお金の管理するだけで年額600万円はないでしょ。

まとめ

この推測が正しいと仮定した場合

仮定に仮定を重ねた結果の推測なのであてにしないで欲しいのですが。その推測が正しいと仮定した場合、辰巳選手の奥さんによる「洗脳」の事実はわかりませんが、少なくとも辰巳選手の両親が、辰巳選手の収入から年間各300万、年間600万円抜いている時点で、「毒親」の誹りは免れないと考えます。

インタビューで辰巳選手の言う、「会社の維持費を考えると、普通に個人で税金を払っている方が普通にいいと思うんで。」についてですが、これは少し事実誤認になりますね。前述の通り、辰巳選手の個人所得を抑えたり、社会保険料を抑える効果があります。
私が読み解く限りでは、あくまで辰巳選手の両親が抜き過ぎているだけ、であって個人事業と法人事業でわけることは節税に繋がるはずです。
辰巳選手の推定年俸の、今シーズンを除いた過去の額の平均値をだしてみました。
5年間の総額が1億4300万円で、平均として年 2860万円ですから、そこから 600万円抜かれるのは大きいですよね。



もちろん、両親が受け取った役員報酬は、例えば口座などを別にしていて一切手をつけておらず、最終的に辰巳選手に相続をするつもりだったら話は別ですけどね。以前の記事で何度か触れている自営業者向けの退職金・年金制度である「小規模企業共済」は掛け金が相続対象になりますが決算書には見えてきません。また、取引先の連鎖倒産を防ぐ「中小企業倒産防止共済制度」も解約すると一括で掛け金が戻ってくるのですが、決算書上では経費になっています。いわゆる「簿外資産」というやつですね。
おそらく会計の素人である辰巳選手は決算書や総勘定元帳から、そこまで読み取ることはできないのではないかと考えます。


その場合でも、各300万円の計600万円は抜きすぎですよ。また、邪推すると、辰巳選手の奥さんは一応は経営者であるわけで「私ならもっとうまくやれる」と、辰巳選手の両親と、「辰巳選手の奪い合い」をしているのかもしれませんね。




ChatGPTの反応

プロ野球選手が自身の収入管理や税務処理のために個人事務所を設立するケースは、スポーツ選手に限らず多くの芸能人やフリーランサーにも見られる現象です。このような構造は、個人の所得税率が高額所得者になるほど上昇する日本の税制下で、効率的な税務管理と資産運用を図るための合法的な手段として利用されています。辰巳選手のケースでは、以下のポイントに注目して深掘りしました。

個人事務所「RE○」について

  • 法人化のメリット:個人事務所を法人化することで 、所得を法人税率で処理し、所得の一部を経費として計上することが可能になります。これにより、個人所得税率が高額所得者になるほど高くなる日本の税制下で、税負担を軽減することができます。
  • マネジメント料の支払い:辰巳選手が年俸の大部分をマネジメント料としてRE○に支払うことにより、個人の所得を減らして節税を実現している可能性があります。これはスポーツ選手だけでなく、多くのエンターテイメント業界で見られる構造です。
  • 活動範囲の広がり:プロ野球選手としての活動期間外にも、RE○を通じて収入を得ることができるため、辰巳選手の活動範囲はプロ野球選手としてのものに限定されず、講演会やテレビ出演など多岐にわたります。

役員報酬、保険、年金について

  • 役員報酬の設定:役員賞与として月10万円のお小遣いを受け取っているという情報は、辰巳選手がRE○から直接給与を受け取っていることを示唆しています。これにより、辰巳選手個人の所得を抑え、税負担を軽減している可能性があります。
  • 保険料と年金の計算:辰巳選手の両親に対する保険料と年金の計算を通じて、彼らがどの程度の役員報酬を受け取っているか推測することができます。こうした計算は、企業の財務状態や役員の報酬体系を理解する上で重要な手がかりとなります。

結論

辰巳選手のケースを通じて、プロ野球選手が法人を設立し、収入管理や税務処理を行う背景には、日本の税制における高額所得者の税負担軽減のニーズが大きく関わっていることが分かります。法人を通じた経費計上や役員報酬の設定は、合法的な範囲内で税負担を軽減するための手段ですが、このような構造が公平な税制を
損なう可能性も指摘されています。スポーツ選手の所得管理に関する透明性や公平性の議論は、今後も続くことが予想されます。



==========
別に両親がプロ野球選手のお金を管理するというのは珍しいことではありません。例えば北海道日本ハムファイターズに所属していた「ハンカチ王子」こと斎藤佑樹選手を覚えていらっしゃいますでしょうか。
斎藤佑樹さんの父親は、斎藤佑樹さんのプロ入り前に、某大手企業を早期退職して斎藤佑樹さんのマネジメント会社「ユウ企画」を設立したそうです。斎藤佑樹さんの両親が書いた2冊の書籍の印税などは、すべてこの会社に入れているそうです。当時は「まだプロにもなっていないのに」とかなり叩かれていたと記憶していますが、こう考えてみるとかなりしっかりとしたご両親です。

[PR]


斎藤佑樹さんが引退したあと、「株式会社斉藤祐樹」を設立したことが話題になりましたね。実はこの会社は、前述の「ユウ企画」から商号変更しているのです。つまり、学生時代からあった父親が経営していた自身のマネジメント会社を引き継いで、自身が代表になったということですね。直接お金を渡すと贈与税がかかりますが、会社を渡してしまえば贈与税はかかりません。株式の比率である程度の相続税が発生しますが。
話を戻しますと、斎藤佑樹さんの父親も、もしかしたら斎藤佑樹さんの収入から、役員報酬としてある程度は抜いていたかもしれないですけど。おそらく特に問題のない金額だったのかと感じました。具体名は出しませんが、かなり大きい会社ですので早期退職しても軽く1000万円以上の退職金が出たでしょうし、斎藤佑樹さんの実家(両親の住まい)ってかなり大きい家ですからねぇ。大手企業で働いていて、斎藤佑樹さんとお兄さんを私立高校・大学に入れたりしていますが、それでもそこそこ資産はあったのでしょう。

斎藤佑樹さんは、プロ野球選手としては成功をしたとは言いがたい成績だったのですが、このあたりの顛末をみて、彼は周りの人に恵まれていたんだなぁ、と感じたことを思い出しました。
辰巳選手の両親も、もともとは同じようなことをしようと思ったのかもしれません。やり方が下手だったのでしょうね、きっと。



一連のゲンダイの記事はこちらで、時系列順に並べています。

[①]

[②]

[③]

[④]

[⑤]