以前の記事で、営業マン時代に上司に「お客様には帰るお前の靴の裏が見えてるんだ」と言われたことを書いたと思います。



この時に働いていた会社はブラックもブラックです。まあ新卒で入った会社なんですけど。
当時の私は、やる気のないダメな営業マンでした。音楽がやりたくて音楽をやるお金を稼ぐためにサラリーマンになったのです。あ、これは書くの初めてだったかもしれません。
そういや書いてなかったですね、進学校にいたのに受験勉強を放棄したのは勉強より音楽の方が楽しかったからです。当たり前ですよね、音楽の方が楽しいに決まってる。
高校3年生のころ、滑り止めで受けた受験日が一番早かったFランク大学に合格したあと、「俺はFランク大に行く!ここに行きたい!」と言い張って、父親の「就職大変だよ?それでもいいの?」という言葉を「(音楽で身を立てられるという根拠のない自信があるから)大丈夫!🙆」と押し切ったのです。
大学に入ってからはアルバイトとバンド活動に明け暮れます。大学3年や4年になったあと、平日にあるスタジオ練習やライブで、大学の講義を休む言い訳の常套句は「就職活動」でした。
アルバイトよりは、いわゆる正社員のほうが安定してお金がもらえる、という理由でいい加減に面接を受けて、いい加減に採用されて、いい加減に入社した会社がこの企業です。
ブラックもブラック、音楽やる暇なくなっちゃったよねw



結局、音楽やる暇がなくなってしまったのでこの会社はすぐに辞めてしまったのですが。この会社で、尊敬するA課長と出会うことができました。
A課長からは、様々なことを学ばせていただきました。あの会社には半年もいなかったですし、最初の2ヶ月は新人研修です。配置転換もあったことから、A課長の組織にいたのは3ヶ月もなかったのでしょうか。それでも、A課長からたくさんの事を教えていただき、それが自分の中で生きている気がします。

そんなA課長から学んだエピソードの一つ。
当時のA課長には、幼稚園だか保育園に通うくらいの年頃の男の子がいらして、目に入れても痛くないくらいに可愛がっていらっしゃいました。朝6時には出社して、終電近くに帰宅する激務の中で、休日くらいは朝寝坊したいでしょうに、A課長は朝からお子さんとウルトラマンを見るため、それなりの時間には起きていらしたそうです。
ただ、私が思うにA課長は「お子さんとウルトラマンを見る時間」は大事にしていましたが、ウルトラマン自体は面白いと感じていなかったのではないかと。
A課長いわく「作り手が子どもに何を伝えたくてこの話を作ったのか考えながら観てる」そうです。
それを聞いて以来、「はぇ〜」と思った私も別に子ども向けじゃなくても「作り手が、誰に何を伝えたいのか」というのを考えながら本を読んだり、映画やドラマを観ることにしています。
確かにこうすると、面白いとか面白くないとかそういうのどうでもよくなりますし、話がつまらなくても逆に面白く感じることもあります。あと、これを書いていて、よく俺バンドなんかやってたな。昔の自分すげーバカだな、って思いました。

ところで、私はドラえもんは「大山のぶ代原理主義者」でありました。声優さんが交代した後の作品は「こんなのドラえもんとは認めない!」と一切観ていなかったのですよね。そもそも、結婚して子どもがいるならともかく、社会にでて独身でドラえもん最新作とか観ないですよね。しかし、甥っ子1号が生まれたあとは「大山のぶ代原理主義者」をやめました。
将来、甥っ子と一緒に色々とドラえもんを観るときに違和感を覚えないように、今のうちから新しいドラえもんに慣れておこうかと思ってたま~に劇場版ドラえもん観ます。
甥っ子の母である妹は、子どもの頃は「海底鬼岩城」が好きだったらしくて「バギーちゃん」が最期にポセイドンに突っ込んだシーンでいつも悲しい思いをしていたようです。
この作品、「ドラえもん のび太の海底鬼岩城」は東西冷戦や当時の核開発競争をモチーフにした風刺のきいた作品なのですが。リメイクはされないでしょうね。
妹に言いました。「リメイクされたとして、君は(甥っ子1号)や(甥っ子2号)に、"バギーちゃんのように友達を助けるために自分の命を捨てなさい"って教えられるかな?」
もしリメイクをされるのであれば、きっとバギーちゃんは死なないでしょう。そうすると、一気に陳腐な話になってしまうと考えます。制作チームの腕の見せ所ですね。


そういえば、営業マン時代、私がダメダメだったことは前述の通りです。やる気も能力もありませんでした。しかし、アポをとれないと偉い人からの罵声や罵倒が待っています。
そんな時、A課長が営業先のアポをとってくださり「おい不惑、今から小田原の⚪︎社に行って新規とってこい!」と。
え?今ここ銀座ですよ?しかも新幹線NGなの?
なんだかんだ、小田原に行き、営業に行ったのですがもちろんダメ。報告の電話を入れたところA課長いわく。

「そっか。ところで○○って店でカマボコ買ってきてくれ。ウルトラマンのやつ」
わざわざ小田原行かせた目的はそれか!ただのパシリじゃねーか!!

きっと、もう一つ目的があったはずで、音楽をやる暇が無く、営業のアポもとれず様々な人から罵声を浴び罵倒されていて参っていた私をリフレッシュさせる目的もありましたよね。会社に戻って、カマボコ渡したときは「あれ?もう帰ってきたの?」という顔をしていたと信じたいです。
反省会という名の、私にとってはA課長との雑談の時間にあれこれ教えていただいたことは、私にとっての宝物になっています。
今の自分があるのは、今まで出会った人たちのお陰なのですよね。すべての人に感謝をしなければ。