はじめに
2024年7月の都知事選での石丸旋風は、個人的に大きな衝撃でした。正直、石丸伸二さんその人については「この人はなんか薄っぺらいなぁ」としか感じないのですが、あのやり方はすごい。
似たような戦略を、2024年11月の兵庫県知事選挙で斎藤元彦さんと、NHK党の立花孝志が行い、SNS上はデマで溢れかえり、結果的に何人か死人がでてしまったことに対しては、恐怖すら覚えます。
本記事ではネット戦略と選挙について調べ(インプット)て、考えたことをアウトプットします。いったん文章化することで、何か気付くことがないかという試みです。
SNSなどネット戦略と選挙
効果がでる選挙とでない選挙がある
石丸流(というより、選挙プランナーの故・藤川晋之助氏)が仕掛けたこのやり方は、効果がでる選挙と、効果がでない選挙が如実にあらわれると考えます。細かく分析してみましょう。効果がでる選挙
種類
簡単に言えば、「選挙区が広く候補者が回りきれない」ような選挙です。選挙でいうと
・都道府県知事選挙
・参議院選挙区
・参議院比例区
・衆議院比例代表
などがそれにあたります。もちろん例外はありますけど。
事例
いくつか事例をあげてみましょう。敬称略です。・2024年07月 東京都知事選挙 石丸伸二
・2024年09月 自民党総裁選挙 高市早苗(地方票)
→ 石破茂が最有力だと言われた地方票を高市早苗が覆した。選挙参謀は同じく故・藤川晋之助氏
・2024年10月 衆議院議員選挙 国民民主党(比例票)
→ 国民民主党は選挙区では負けまくったものの比例復活が相次いだ
・2024年11月 兵庫県知事選挙 斎藤元彦
このように候補者がくまなく選挙区を回ることができない選挙で躍進をしています。
効果がでない選挙
種類
こういったSNS・動画戦略が効果的ではない選挙もあります。もうおわかりでしょうが、選挙区が狭く候補者がどれだけ地元で活動するかがモノを言う選挙です。選挙で言うと、
・衆議院選挙
・都道府県議会選挙
・市町村首長選挙
・市町村議会選挙
などがそれにあたります。もちろん例外はありますけど。
例外の一つとして。首長選挙の選挙期間は7日間なんですが、市町村の面積が広い場合はどうでしょう、ということです。例えば横浜市とかは面積が広く都市部が多いため、7日間で回るには限度があると考えます。こういったケースではSNS/動画戦略の効果は高まっていくのでしょう。同じ面積が広くても多くが山林、などという自治体ではそうでもないのではないかと。
事例
・2024年10月衆議院選挙東京15区→ 駅頭にたち、選挙区を自転車で走り回るなど地道なドブ板を続けた須藤元気が6万5666票をとって躍進する(1位と1125票差で落選)
・2024年12月兵庫県泉大津市長選挙
→ 地道な活動をしない立花孝志が当たり前のように大差で落選
・2025年6月、東京都議会選挙
→ 「再生の道」全員落選
→ 3年間、千代田区で活動をし続けたNHK党系のトンデモ候補が当選
・他、同級生が出た選挙
→ 実家市がわかってしまうので詳細は書けませんが、同級生が出馬した選挙で候補者全員のYouTubeチャンネルの動画再生回数統計を私自身がとりました。動画再生回数がもっとも多かった候補は落選しています(※)
兵庫県知事選挙のあと、バカを煽って脚光を浴びた立花孝志ですが、こういった範囲が狭い選挙においては余裕で大敗します。
「再生の道」は候補者が決まるのが遅く、動き出しが遅かったので地道な「公示前の政治活動」をする期間が短かったですね。
逆にSNSや動画なんて程々にしておいても、すっかり陰謀論者になってしまった須藤元気さんや、NHK党系のウンコのような候補でも、時間をかけて地域で活動していれば票がとれるということと。何か他の要因と歯車が噛み合ってしまうと当選してしまう、ということがわかります。
※ 動画再生回数の統計はvidIQというツールを使いました。有料版です。
「再生の道」を考える
2025年6月の東京都議会選挙で、「再生の道」は公式YouTube動画の再生回数が圧倒的だったものの、見事に「全員落選」という結果になりました。特に杉並区に3人候補者をたてるとか、正気の沙汰とは思えませんでした。結果から、3人の票を足し上げたら普通に当選ラインでしたからね…。
参議院選挙は結構やるんじゃないか?
「再生の道」参議院東京選挙区の候補者を、私はよく知りません。あくまで候補者の方の経歴・政策・訴求力・キャラクターなどが影響するのは当然のことです。それらを一切無視して、数字だけを出して考えてみましょう。まず、この都議会選挙での「再生の道」の総得票数は39万1516票でした。実は、42人が出馬して供託金を没収されるのはたった2名であり、得票数は低いながらもそこそこの票はとっていたのです。
そして、過去5回の参議院選挙東京選挙区において、最下位当選の得票数の平均値を出してみたところ57万3555票でした。
前述の通り、候補者のキャラクターや、応援などの組織力がモノを言う部分もありますが、182,039票を上積みすることができれば、当選はほぼ確実だと考えます。もっとも、その18万票が難しいところではあります。だいたい、石丸旋風を受けてどこの政党も同じようなことをやっていますからね。差別化しながら18万票はなかなかしんどいかもしれません。
石丸伸二さんは、東京都だけで1,658,363票をとったことを忘れてはいけません。石丸旋風はもう終わっているとは思いますが、そこそこの影響力はあるはずです。東京都選挙区の候補者に寄り添って応援をし、候補者の経歴・政策・訴求力・キャラクターが選挙区の有権者に認められれば、必ずしも不可能な数字ではないと思うのです。
また、全国比例についても一定程度の票は取れるのではないかと考えます。例えば全国で1,658,363票をとった場合、2022年の参議院選挙においては3%程度の得票率になります。ここで一人でも当選者が出た場合は「国政政党」と認められます。それが良いことかはわかりませんが…。
おわりに
所感
前述の通り、私は石丸伸二さんには好感を持っていません。石丸伸二さんというより、故・藤川晋之助氏が作った(?)この手法について考えていました。
また、「再生の道」の候補者のことも知らず、私は都民ではありませんから興味がありません。彼らが当選することが良いことだとは必ずしも思えないです。
参議院選挙は、住んでいる自治体の情勢を見て投票先を決めますし、私には(野党第一党という理由で)消極的に支持をしている政党があるので、比例はそちらに入れます。
最近は世の中に嫌気が刺してきてるのもありどうでもよくなってきて、8年に1回政権交代が起きてくれればそれでいいんですよ。そう諦観しています。
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Whisk作成。謎文字排除するの大変だし、排除しきれない。
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