朝6時に起床し、起き抜けのクソみたいな脳みそにニコチンを放り込むため、ベランダでタバコを吸っていました。
なんだか今日はいつも以上にカラスが多く飛んでた気がします。ぼんやりと「カラスって嫌われてるけど自由だよなぁ」と思いました。

自営業として、もちろん法的な制約や自らの選択による不自由さはあれど、比較的に自由な働き方をしている反面、自らの選択の結果なのですが、薄い社会保障に一抹の不安を感じています。
もっとも、その不安は長生きをしなければ解消されるのです。
独身男性の寿命の中央値というのは67.4歳だそう。既婚男性と食べるものが違うからでしょう。67.4歳くらいに寿命を迎えるのであれば、まあなんとかなるのではないか。

最近、「フリーランスになりたい」的なタイトルのブログ記事を目にするので、ちょっと読んでみました。
その記事に「有料のWEBデザインスクール」の画像を張っていたのですが、「なんと無責任な」と言いたくなる、頭を抱えるレベルのものでした。





画像引用元:
https://x.com/maaadesign/status/1912338951307960677

調べてみると、案の定、スクールの運営は企業向けWeb制作の会社でした。
卒業後もサポートしますよ、というのは「ウチの下請けを安くやってくださいね」という意味です。
こんなブログ誰が読んでいるのか?というレベルですので平気かとは思うのですが、名誉毀損とかで訴えられたくないので社名は出しません。

経営としては、完璧なやり方です。
企業が未経験の正社員を採用する場合、使い物にするために給与を支払いながら教育(投資)をしなければいけません。また、投資の結果、使えなくても、簡単にクビは切れません。
企業には仕事の多い時期、少ない時期がありますが、決まった給与と社会保険料を払い続けなければいけません。経営者にとっては正社員を採用するより、フリーランスを使った方が安上がりなのです。

そこで、正社員を採用せず「自由な働き方に憧れる」人たちを「有償で教育」します。
そして、自分の企業で請け負った仕事をスクールの卒業生に丸投げする、というやり方です。悪い言い方ですが、あまりスキルが身につかなかった人には、回る仕事も少ないでしょう。
でも企業は正社員と異なり「有償で教育」をしているので、別に損をしません。
仕事が少ない時期があっても、正社員を雇っているわけではないので、支出が減るだけで資金繰りにも影響しません。
100点満点です。実は、私も似たようなことを小さい規模でやろうと思っていたのですがやめました(笑)。
これは、ある意味で「搾取の構造」であることがわかると思います。副業であったり、主婦(夫)だったら全然いいんですけどね。

同じ会社の広告?で週3,4稼働で月収30万円という表記があったのですが。フリーランスのWEBデザイナーで月収30万円って、たぶんITフリーランスの中では相当安いです。確かITフリーランスの平均単価は月80万円くらいだったはずです。
さらに、コンスタントに収入が月30万円あったところで、それを全部使えるわけではありません。
30万円 × 12ヶ月 = 売上360万円とします。これは年収ではなく「年商」にあたります。

・(あり得ない仮定ですが) 経費は0円
・インボイス登録なし
・基礎控除48万円 + 青色申告特別控除65万円 (電子申告 or 優良電子帳簿)
・国民健康保険 年21万円
・国民年金 年21万円

という条件ですと、「所得」は202万円。住民税と所得税あわせて約18万円がかかります。

自由に使えるお金を計算してみましょう。
360万 - 21万 - 21万 - 18万 = 300万円
12ヶ月で割ると、平均して25万円の手取りということになります。
数字だけみるとそこそこあるように見えますが、これは社会保障を切り売りした結果の数字です。
「年収300万円ボーナスなしサラリーマン」の場合、月収額面25万円、手取り20万円弱と比較してみましょう
国民健康保険は、協会けんぽなどの社会保険料と比較して割高です。
年金についても薄く、年金に関しては企業負担分もあわせて47,580円を支払っています。フリーランスは国民年金(月17,510円)のみになりますので、将来に受取れる金額は大幅に減り、(それまでの納付状況はおいておいて)年収300万円のサラリーマン以下になります。

もちろん契約によりますが、「成果」で仕事をする場合、体調を崩し納期を守れなかったら、減額または最悪、収入が得られないことも考えられます。
病気になり数ヶ月働けなくなったとして、傷病手当金などもらえません。無収入になるだけです。

「税金は翌年くる」というのを忘れてはいけません。
フリーランス歴20年のWebデザイナーの知人がいます。
私がサラリーマンだった頃、彼と飲んでいたとき「独立1年目にかなり稼げたけど、税金のことを考えず使ってしまい、2年目に仕事が減って、税金や社会保険料が支払いがしんどくて本当に困った」と話していたのを覚えています。彼は、奥さんの収入でなんとかなったそうですが、それ以来、頭が上がらなくなったそうです(笑)。どちらかが不安定な仕事をしている場合、もう片方は固い仕事をしているといいですね。

仮に、下請け仕事を回してもらえず、また仕事がとれず実質的に「失業」状態になったとしても、フリーランスは雇用保険に入っていないため、失業給付を受給できません。自分でどうにかするしかありません。Webデザイナーの場合、労災には特別加入することができます。サラリーマンでしたら企業が負担するのですが、フリーランスは自分で加入する必要があります。
月平均、25万円自由に使えるお金があるからといって、フリーランスは不安定であり、そのリスクを回避するにはお金がかかるのです。これらは経費計上や控除の対象なのですが将来の低年金に備えた、iDeCoや自営業者向けの年金制度であったり、労災の特別加入、就業不能保険、損害賠償保険、何よりいざという時のための貯金。したがって、その25万円はすべて、本当に自由に使えるお金ですか?ということです。
これは主観ですが、リスク回避のための支出を考慮すると、関東近郊であれば実家暮らしでもない限り、最低でも月商60万円くらいは稼がければ持続できないと思います。


フリーランス(自営業)としてやってきて当たり前に思うのが、まず仕事を取ってこれることが大事です。契約で許されていればの話ですが、仕事がとれさえすれば、できる部分は自分でやり、できない部分はできる人を探してそこだけ依頼すればいいのです。自分で仕事がとれない場合、割に合わない下請け仕事をこなさなければいけません。

私はサラリーマン時代からの積み上げで、そこそこのスキルと、自分で仕事を取ってこれるので独立しました。

未経験でいきなり「フリーランスになります」は無謀だと考えます。
もちろん、チャレンジ精神は大事ですし、否定はしません。チャレンジするなら、業界の構造を理解し、事前準備をしっかりすることをおすすめします。

この記事に対して「どうすればいいのか?がない」というツッコミがChatGPTから入りました。そんなことを自分で考えられない・決められない人はそもそもフリーランスに向いていないと考えます。「どうすればいいのか」の最適解など存在しません。個人にはそれぞれ違った事情があるのですから、それぞれの事情にあわせて「どうするか」選択していくしかないです。「節税」についてはある程度の最適解というのはあるのですが、それはフリーランスとして稼いだあとの話であって、フリーランスとしてどう稼ぐかという最適解なんてあったら誰も廃業なんてしないでしょう。

例えば冒頭に言及したスクールも、人によっては悪いことばかりではないです。先にも出しましたが、結婚されて伴侶の方が安定した収入がある場合で考えてみましょう。
仕事を辞め、スクール代金の3ヶ月50万円を投資として、きちんと勉強をしてスキルを身につけられたとします。下請け仕事で月10万円の収入を5ヶ月続けられれば、それ以上は投資を回収できますよね。あとはライフスタイルによって仕事を量を調整、例えば配偶者の方に何かあった場合は、ご自身の仕事が増やせれば、家計を守ることができるかもしれません。フリーランスの方が不安定ですけどね。
そして何より、サラリーマンやパートタイマーよりも自由に働けることは間違いありません。

現在お仕事をしている方にとってはどうでしょうか。50万円を投資して、かつ仕事を辞めるというのはとてもリスクの高い行為です。それでうまくいく人もいるかもしれませんが、そういう人は一握りです。仕事を継続しつつ勉強をするのが理想ですが、仕事で疲れているなか、勉強を継続してきちんとスキルを身につけられるかがカギになります。スクール側としては挫折してもらった方がありがたいでしょうね。なぜならお金はもう受け取っているのですから。

現在お仕事をされていない方でしたら、まずハローワーク提携の職業訓練校などを利用する方が先でしょう。要件を満たせば給付金を受け取ることもできますし、「要件を満たしている=あなたが持つ当然の権利」です。よく調べられることをお勧めします。

なんにせよ、フリーランスは開業後3年以内に70%以上が廃業している、という現実を知った方がよいと思います。

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